はじめに
私が行っているコーチングの基礎の一つは「アドラー心理学」です。
アドラーさんという精神科医/心理学者は、約100年ほど前、
第一次世界大戦では軍医として従軍した経験も持つ方で、
その経験も彼の考え方に大きな影響を与えたようです。
そして、後に彼の様々な教えを総称して
アドラー心理学と呼ぶようになるのです。
これから当ブログでは、
アドラー心理学とは何なのか、
そして、コーチングの現場では
アドラー心理学がどのようにみなさんの心がスッキリすることに
応用されているのかご紹介していきます。
「人間の全ての悩みは人間関係」
アドラーはこう考えました。
「人間の全ての悩みは人間関係」
ここで言う人間関係とは、
上司と部下などの社会的な立場、お互いがどう感じているかという認識に加えて、
人間関係が繰り広げられる場(会社、学校、家庭など)も含めたものを指しています。
つまり、アドラーの言う「人間関係」とは、
(1) 【環境】自分が置かれている場面
(2) 【関係】その場における相手との関係性(上司と部下、友人関係、夫婦など)
(3) 【自分】自分が自分をどう見ているか
(4) 【相手】相手が自分をどう見ているか
を指しています。
そして、今自分が悩んでいることは、
(1)~(4)の視点で見てみると
どんな状態にあるのかな?
ということを理解するところからスタートしよう
という考え方なのです。
実際アドラー心理学ってどう使うの?
では、みなさんのお悩みをアドラー流の枠組みで考えてみましょう。
ここでは下記のような例を挙げて説明してみますので、
みなさんのお悩みの場合に
置き換えながら読んでみてもらえればと思います。
例えば、こんなお悩みを抱えているとしたら。
「自分が考えた常識外れな企画案を、
上司に提案したいが言い出せない」
(1)環境:どんな場面で起きている話なのか
まずは、考えてみたいのは「(1)環境」です。
どんなときに「言い出せない」のか、
その場面を特定します。
「言い出せない」なぁと思っているのは、
毎日24時間感じているのではなく、
ある特定の場面、シーンで
その感覚を感じているはずです。
例えば
「毎週月曜午前の上司との1対1の会議で、
企画案を言い出せない」
のだとしましょう。
(2)関係:自分と相手の関係性は?
次に、考えやすいのは、「(2)関係」です。
上記のシーンにおいては、
自分と相手の関係は
「上司と部下」であり、「企画の発案者と承認者」
という関係性でもあります。
(3)自分:自分が自分自身をどう感じているか
次に、その場面で、「(3)自分」が自分自身をどう感じているかを整理してみましょう。
例えば、「常識外れなやつだと思われたくない」「企画を発案してもやり遂げる自信がない」
など、自分に対して思っているかもしれません。
ここで一つポイントですが、
自分が自分をどのように捉えているか、すぐには把握しづらいときもあるということです。
プライドがあったり、弱みがあることから目を背けたりしていると、
自分が自分自身の本心を理解できない、把握できない、気付けないということがあります。
(4)相手:相手は自分のことをどう捉えているのか
最後に「(4)相手」が自分のことをどのように捉えているかです。
ここについては、自分以外の人間のことをあくまで外から推測することになります。
ここで自分でまずできることは、その推測の精度をあげることです。
つまり、相手はいったい何を考えているんだろう、
何を感じているのだろうということに、
本気で想像を巡らせることです。
ここでのポイントは、「(3)自分」の感じ方を十分に捉えきっていないと
相手のことをフェアに考えづらいということです。
まとめ
- お悩みを生みだしている場面、シーンを特定しよう (1環境)(2関係)
- 勇気をもって自分自身を素直に、正直に捉えよう (3自分)
- 自分の利害を超えて相手の考えていること、感じていることを捉えよう (4相手)
と、まぁこんなステップで考えたいわけですが、
なかなか、自分が悩んでいる時に
このステップを効率的に効果的に
整理したりするのは難しいものです。
その整理を手伝うのがコーチの仕事の一側面なわけです。
さて、次回は
コーチングセッションの中で
このお悩みをどう解決していくのか
その流れをご紹介したいと思います。
Kuni Coach @明日は朝から飛行機で関西へ
参考文献:アドラー心理学 人生を変える思考スイッチの切り替え方 八巻秀監修